おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

浅間浅間よ朝陽が登る4

天明の大噴火で8日に発生した「鎌原火砕流(かんばらかさいりゅう)」とか「岩屑流れ」は鎌原村を飲み込むと、大量の土砂を北に流れる吾妻川に注ぎ込みます。これを「天明泥流」といいます。

吾妻川(2019年 建設中の八ッ場ダムより)

昨年3月、群馬県長野原町に「やんば天明泥流ミュージアム」が開館しました。私がこの辺りを訪れたのが令和元年(2019)8月のことですので、展示を拝見したことはないですが、ミュージアムのHPを見ると、『天明がよみがえる 1783(天明3)年8月5日、浅間山の大噴火を機に発生した「天明泥流」は、川沿いの八ッ場の村々を一瞬にして埋め尽くした―。』とあります。

「やんば」の地名からわかる通り、この地に建設開始から完成まで紆余曲折のあった「八ッ場ダム」があり、その建設の際にダム湖に沈む地域の大規模な発掘調査が行われました。

竣工直前の八ッ場ダム

その調査で天明泥流」に埋没した村落が広範囲に発見され、その当時の様子がミュージアムで再現されているとのことです。

「浅間のいたずら 鬼の押出し」とは、群馬県の郷土かるたとして有名な「上毛かるた」の中の1枚ですが、かるたの作者である浦野匡彦(うらの・まさひこ)さんはこの地長野原のご出身だそうです。

さて、この天明泥流」ですが、更に下流群馬県渋川市利根川と合流します。吾妻川に流れ込んだ土砂が、今度は利根川にも流れ込んだわけです。渋川市川島にある「金島の浅間石」は、東西15m・南北9.5m・高さ4mという大きな岩ですが、泥流により流された大岩の一つです。

利根川群馬県と埼玉県の県境を流れ、更には埼玉県・茨城県・千葉県の県境で利根川本流と江戸川に分かれます。江戸川は千葉県と東京都の境を流れ、最後には東京湾にそそぐわけですが、天明泥流」の川流死者が漂着しています。この漂着の供養碑が都内に残っていおり、次回はそのご紹介です。