ちなみにこの邸宅は4階建てで、館内図は↓の通り。
当然バリアフリーという思想のない時代なので、階段はあるものの階ごとの高低差があまりないので、階段での移動はそれほど苦にはなりません。
また、訪問者用にカーペットが敷いてあるのでぱっと見はわかりませんが、床・階段の部分にも大谷石が使用されています。
ちなみにライトは帝国ホテルの建設にあたり、大谷石入手を確実にするためか、ひと山丸々買い取ったほどで、この邸宅にもふんだんに使用されています。
上の写真の階段を右側に進むと廊下があり、右側に和室への入口が目に入ります。
ライトの建築にみられる幾何学的な装飾は和室においても使用されています。高低二段の天井はここでも使用され、欄間の部分には窓の部分と同じ装飾模様が連続して用いられています。
模様は欄間だけでなく、床間のある部屋の開口部分にも設けられていて、ライトはこの邸宅の内部装飾にはこの「四葉のクローバー的」な模様を統一して使用しているのが印象に残ります。
ただ、個人的にはライトがいくら日本文化に造詣が深かったとはいえ、当初想定していなかった和室のデザインを一から設計するのは困難です。後を引き継いだ遠藤らが他の部屋のデザインと合わせるように苦心して作り上げたのではないかと思います。なのでライト設計の和室、というよりは、ライト設計の方向性を踏襲した和室、と考えた方が良さそうです。
この階(3階)にはこの和室の先に寝室等が配置されているのですが、それらについては次回で。