おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

新(あらた)なるステージ(舞台)6

自由学園の立場から文化財指定に対して積極的になれない理由がありました。それは文化財指定を受けることにより、修理費用などに補助金が出るというメリットの一方で、建物の使用など活用が制限され、自由が失われるデメリットを懸念したものです。

建物として使用できる自由を残したい、との思いがありました

昭和の時代の文化財保護の基本的な考え方は「静的保存」というものでした。これは、文化財の本来の状態や特性をできるだけ変えずに保護することこそが、文化財の価値や意義を尊重するものだ、という考え方です。

「静的保存」では劣化は避けられるものの、生きた文化財に直接触れて体験することに制限が設けられ、活用することは難しくなります。それに対し、文化財の機能や用途を生かしながら使用し、修理・改修を行いつつ保存していこうという「動態保存」の考え方が台頭してきました。

自由学園明日館は「動態保存」のモデルケースとして現在に至ります

平成八年(1996)に文化財保護法が改正され、その中で「動態保存」の考え方が盛り込まれます。明日館が重要文化財に指定されたのは平成九年(1997)5月29日のこと。平成十一年(1999)から十三年(2001)の2年半にわたる保存改修工事を経て、現在は結婚式やコンサートなど様々な用途で使用されています。一般公開されているのですが、イベントで貸し出されている場合などは見学不可となっていますので、明日館のHPで見学可能日を確認しないと「せっかく来たのに・・」となるのでご注意を。(校舎が見学可能で講堂のみ不可の日も)

月に一度、第三金曜日については、18:00~20:00までの夜間見学会(飲酒あり)となっているのですが、先ほど見学カレンダーを見たところ、18,19の両日は4年ぶりに「ビアテラス2023」が開催され、17:00~21:00の間、クラフトビールが楽しめるそうです!重要文化財で「動態保存」を満喫するチャンスですね。

自由学園については以上です。本来なら遠藤新のその後に続くべきなのですが、9月に彼の設計した「甲子園ホテル」を見学できることになりました。ですのでこの項はいったん終了し、見学後別途 新に再開したいと思います。

ということで、いったんライト建築のお話はおしまいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。