おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

もしも明日が羽仁ならば6

ドラマでは2階にある食堂に先に案内されて、明日館の案内者の方が羽仁夫妻の考え方を紹介しています。

「学校建築では珍しく、食堂が建物の中心にあるんですよ。羽仁夫妻は温かい食事を皆でとりたいということで、ライトにお願いしてこの食堂の部屋が建物の中心に造られて、その当時から生徒さんたちが自分たちで作って食べていたようですね。」

食堂 右に暖炉が見えます

また、当初は天井から釣り下がった丸い照明は当初の設計にはありませんでした。ライトが実際に建築現場を見に来た際に、天井が高すぎて間があいてしまって格好が悪いことから、一晩で照明を追加したことも紹介されていました。

追加された照明に関する案内

照明器具そのものの幾何学的なデザインもいいですが、この照明を真上から吊り下げず、斜め上の二か所から吊られていてることで、全体の幾何学模様と調和しています。(この建物、逆ホームベース形と「M」の字っぽい模様が印象的なのですが、この照明の吊り金具もその模様を作るのに役立っています)

食堂の隅の方 増築された部分にあたる

翌年には生徒が増え食堂が手狭になってしまったため、周囲三方のバルコニーだったところに屋根をかけ天井をつけて増築を行いました。(増築はライトの帰国後だったため、遠藤新が設計しています)テーブルと椅子の設計も遠藤が担当しています。

ちなみにここの見学料金は500円ですが、喫茶付き料金800円を払うと、コーヒーOR紅茶+焼菓子をこの食堂の椅子(当時のものです)に座って楽しむことができます。

一年で増築が必要になった、ということは羽仁夫妻の教育方針に賛同し、娘をこの学校に入れたい、という親がそれだけ多かった、といえますね。
さて次回は向かいにある自由学園の講堂と、この建物の修理保存についても触れていきたいと思います。