おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

想いを寄席る10

同じ噺を演ずることを「ネタ(根多)被り」といい、当然ながらタブーです。後の演者は、違う噺でもテーマやマクラが被るのを避けなければいけません。

袖で見ていた草原らは「おい、愛宕山は⁈」と大慌て。ライバルの噺家たちも「寿限無はさっき草々がやったやろ」

父親へのわだかまりが解けた小草若は、泣きながら演じ、号泣しながら下げを言うと舞台を降りてしまいます。それを見つめる父であり師匠の草若・・

喜代美が草若師匠の家に迷い込む時に通った稲荷の鳥居

が、お客さんは呆然・・・シークレット(お楽しみ)ゲストとして歌を披露するつもりだった「寝床」の大将も

「こんな空気で出れるか」と尻込みしてしまいます。見かねた四草が

「(草々)兄さん、出てください」 草原も

「そや、草々、愛宕山や」「えぇ⁈」

出囃子が鳴り、意を決して舞台に向かおうとする草々と、心配げな喜代美・・思いつめたような表情の草若・・

草々と喜代美がオムライスを食べたレストラン

放送事故ギリギリの15秒の無音時間でその場に居合わせた人たちの表情を追い、その後の名シーンにつなげていく演出の妙が発揮されます。

このあたりは是非NHKオンデマンドかU-NEXTなどで実際にご視聴下さい。(○○tubeにも編集したのがアップされているようですが…)

この後も草々の破門騒動や究極の「壁ドン」からの結婚などなど、一週間ごとに話を完結させながら、途中に伏線を張りつつ、さらに先の話へつないでいく構成は見事です。

最終的にこの弟子たちは、師匠の悲願であった「大阪に落語の定席小屋を作る」のですが、「ちりとてちん」の紹介はここまで。(是非実際にご覧いただきたい傑作です)

次回から「上方落語~定席小屋への道のり」をご紹介していきたいと思います。