土居会長が、天神さんに相談してみよう、そう思いついたのには、昭和四十年代くらいから、大阪天満宮と天神橋筋商店街とが協力して地域活性に努めてきた歴史があったからでした。
大阪天満宮は、「天満の天神さん」として親しまれている大阪でも有数の神社で、日本三大祭りの「天神祭り」でも知られています。
宮司を務める寺井種伯(てらい たねのり)さんは、かねてから「神社というものは氏子の皆さんからお預かりしたものだ。お預かりしているものは皆様のために役立てなければいけない」と、地域との連帯感を大事にされている方でした。
寺井宮司に相談すると、相談をもちかけた土居会長がおどろく返事が返ってきました。
「北門のところにある駐車場の土地、使うてください。お金はいりまへん。」
『土地の無償提供』、土居会長はすぐ三枝会長に連絡を取ります。
「今は、駐車場になってまっけど、その場所を大阪天満宮の宮司さんが、ただで寄席にしてもろても、ええと言うてはりまんねん。」
三枝師匠はこの申出に驚きながらも、最初の想いをHPで述べておられます。
無料で?土地を? 駐車場か・・・
私には商店街の通りから離れた駐車場に、寄席が建つなんてとてもイメージできなかったのである。どうせ、淋しい場所に違いない。その言葉を飲み込んで、言った。
「一度見せてもらえますか?」
三枝会長は大阪の人ながら、このあたりに土地勘がなかったようで、この場所が商店街からほど近い繁華な場所であることをご存じなかったようです。
兎にも角にも、数日後、三枝・土居両会長はその場所を見学に行きました。この時の感想もHPからそのまま紹介します。
駐車場は大阪天満宮北門の東側にあった。
そこは契約者のみの駐車場と言うことであった。一〇台ほど停まっていただろうか。
私は驚いた。あまりの広さにである。
寄席が建ってしまうとそんなにも大きいと思わないが、何も建ってない時の広さは、自分の思い描いていた劇場の広さをはるかに超えていた。
こんな広い、それにまだ契約者もいるのに、この土地を貸してもらえるのだろうか、夢のような話だったから、にわかに信じがたかったのである。
天神さんの「地」の話が続きます。