おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

奇跡の軌跡

ドラマ「ちりとてちん」では、草若師匠のお宅を寄席に改装して「日暮亭」という定席を建てるところでラストにつながっていくのですが、寝床の大将の他の周囲の人たちがお金や品物(寝床の大将は「売ってお金に替えるよう」愛用のギターを差し出します)を寄付してくれました。

実際の繁昌亭は前回ご紹介したように、募金以外にも三枝会長の他に桂ざこば師匠、笑福亭鶴瓶師匠などが出演するチャリティ寄席(りそな銀行本店ビル)など、様々なイベントで資金集めを行った結果、上物の建設資金を集めることができた訳です。

平成十七年(2015)12月1日から着工、建設が始まり、翌年8月8日に竣工(完成)し、9月15日に開設・こけら落し公演を行っています。(その前の9日10日の土日でプレオープン公演を開催)

こけら落しの日、三枝会長が赤い人力車に三代目桂春団治師匠を載せて天神橋商店街と大阪天満宮を練り歩くパレードを行いました。

パレードに使われた赤い人力車 現在は繁昌亭ホールに陳列されています

赤い人力車は初代桂春団治が大人気で寄席の掛け持ち出演で移動のため自前の人力車を使っていたという伝説に基づいたもので、三枝会長の発案から、関西地方で活躍されているタレント、鈴木美智子さんが寄贈されました。赤い色は春団治が多額の借金に困っていたことから「火の車」と洒落たものだそうですが、静岡の職人に注文したという本漆塗りの豪華なものです。

陳列の人力車の説明板

「繁昌亭」の名前は、島之内寄席のすぐ後に、当時の松鶴会長が開催した「千里繁昌亭」からとったものです。名前(松鶴師匠)や人力車(春団治)の他に、この繁昌亭には戦後の上方落語を支えてきた四天王へのリスペクトが表されています。

繫昌亭に入場すると正面に四天王の似顔絵が飾られています

高座に置かれた「膝隠し」は、三枝会長の師匠にあたる先代五代文枝師匠が使用されていたもの。(残念ながら口座の写真が撮影できないのでここに掲載できません)そして

舞台正面に掲げられている書「楽」は桂米朝師匠の書です。この「楽」にも意味が込められているのですが、この話は次回に。