おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

奇跡の軌跡3

天井を見上げてみましょう。天井を埋めつくすように並べられた提灯が壮観です。この天井と外壁の提灯は全部で1500(天井は約1200)ほどあります。ここに三枝会長発案の寄付された個人・企業の名前が入れられていました。

この提灯の製造を行ったのが、創業安政五年(1858)という大阪天満宮御用達の「提灯舗かわい」さんです。天満宮御用達ということは、天神祭りの提灯もここのもの、ということになるのですが、その老舗をして今まで1番難しかった依頼は、天満天神繁昌亭だったとのこと。
天満天神繁昌亭の寄付者の名前を提灯に書いて、天井にぶら下げることとなり、当初発注が5~600個で、1つの提灯に4~5人の名前を書いていました。これが大好評で発注数が倍、1つの提灯に10人の名前を名前を書くこととなって、書家の方にもお手伝いいただかないといけなくなったそうです。

リニューアル後の提灯には名前の記載はないですが・・

「名前が入れられていました」と過去形になっているのは、令和元年(2019)7月に繁昌亭リニューアルオープンの際、劣化した天井の提灯を新調したのですが、その時に新たな提灯には名前を入れず、その代わりロビー脇の壁面に名前の一覧を掲示しています。少し残念な気もしますが、上でご紹介したように提灯一つ一つに名前を入れるコスト(それも時間とともに劣化するとまた交換が必要に…)と手間を考えればやむを得ないことなのでしょう。
また、開席当時の写真を見ると、赤い人力車とともに、黒い郵便ポストが正面入口左側に置かれています。これは明治の郵便ポストをイメージして置かれたものですが、現在も場所こそ左側側面に移ったものの、しっかりポストとしての役割を果たしています。

繁昌亭側面に移された黒い郵便ポスト 

ちなみに開席後、このポストの最初の投函者は三枝会長でした。なお、ポストの上部にも寄付者の名前の入った提灯が吊るされています。
繁昌亭の内外、当時からのものをご紹介していきましたが、次回は開席当時の記事などもご紹介していきます。