おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

キセキを継ぐもの

興行開始最初の10日間、朝昼夜の1日3回、30公演が開催され、上方落語噺家はほぼ全員が出演しました。立ち見までが出る盛況ぶりでしたが、古参の噺家さんたちが最も心配していたのが、毎日行われる昼席興行が「これからもちゃんとお客さんが入ってくれるんやろうか」ということでした。

当時の新聞記事でもそのあたりに触れています。

上方落語界は、三枝さんら四天王の筆頭弟子が還暦を過ぎ、いまは桂文珍鶴瓶さんらの活躍が目立つ。ただ、実力派の桂吉朝さんが去年50歳で亡くなり、続く世代がなかなか台頭してこない悩みも抱える。ワッハ上方の有川寛館長は「興行はスター不在では続かない」と危ぶむ。

有川館長が次代のスター候補に挙げるのが入門24年目の笑福亭三喬さん(45)。「人物描写や噺の展開、間(ま)のうまさが突出している」。《以下略》

少し注釈を加えると、桂吉朝(かつら きっちょう)さんは米朝師匠の弟子にあたり、前回ご紹介した吉弥さんの師匠にあたります。米朝師匠の後継者として期待されていましたが、記事にも書かれているように平成十七年(2005)11月、師匠よりも先にこの世を去りました。

また、笑福亭三喬さんは笑福亭松鶴師匠の孫弟子にあたります。繁昌亭がオープンして後の主軸を期待されたのは、四天王の次の世代よりさらに次の世代でした。

御堂筋線「動物園前」駅すぐそば ファミリーマート2階の「動楽亭」

四天王の弟子の世代も、師匠たちの志をしっかり次の世代へ引き継いでいます。米朝師匠の弟子にあたる桂ざこば師匠(旧名 朝丸の方が全国的には知られているかも)は、平成20年(2008)の暮れに、通天閣南側山王のマンション二階に寄席小屋「動楽亭」を開設されました。

もともと実家であったものを改装して寄席にしたもので、米朝一門を中心とした噺家さんたちが毎月1日〜20日出演されています。「道楽」にかけた小屋名ですが、しっかり米朝師匠の好きな「楽」の字が取り入れられていますね。

9月11日撮影

さて、今年の9月11日、この動楽亭に吉弥師匠が出演されるので、それを目当てに行ってきましたが、その時の話は次回に。