「大奥」第14回の冒頭、御鈴廊下を進む家斉の耳に赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。「また、生まれたか」とつぶやく家斉。
「たった5年で和子(若子:わこ)さまが11人ですぞ!」と松平定信は房事を控えるよう一橋治済に進言しますが、治済はどこ吹く風どころか
「あなた、何か考え違いをしていらっしゃるんではなくて?」
「は?!」
「私は家斉の母、あなたは唯の老中。家斉の臣下じゃ」
吉宗の孫同士で一緒に正しい(と思っている)政治をやっていこうと、治済を同志のように思っていた定信がはしごを外されるシーンでした。
その後、治済は定信にある要求を持ち掛けます。
「大御所!?」
「そう、大御所。私を大御所にしてほしいの。」
「治済様、御存じと思いますが、大御所とは将軍のご隠居後の尊称でございますよ?」
「ええ、ですから特例を作ってほしいの。」
「はぁ!?」
「だって、実権を握っているのは家斉ではなく、私でしょ?」
これを受け入れられないと断った定信と、「そう」と表情を曇らせた治済。
そのシーンののち、将軍家斉は定信に老中を罷免することを伝えます。
「そのお考えは上様のお考えにございますか!?」
「母を怒らせても、良いことはひとつもない」
「ならば、このご裁定も致し方ございませぬ。しかし、一つだけご忠告を。このままではいつか、上様もこの国も、あの方に滅ぼされますぞ」
その直後のシーンで、治済は自身に仕える武女(むめ、演:佐藤江梨子さん)に定信暗殺を持ち掛けますが、「どうか、もう殺生だけは!」と断られるシーンで、過去の様々な不審死が治済の意向で行われたことが明らかとなります。(その後武女は死んだことが治済から家斉に伝えられました)
ここはドラマとしての創作ですが、将軍候補家基の死については治済の関与があったと思っていたフシがあります。その話については次回で。