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江戸っ子が江戸生まれであることを自慢する言葉に「水道の水で産湯(うぶゆ)を使う」というのがあります。といっても時代劇などを見ても長屋の中心に井戸があって、おかみさんたちが井戸端会議、というのはあっても蛇口から水の出るシーンはありません。
江戸時代、地面の下を水道管(木や石)が通り、それが上水井戸という形で江戸中の町に水を供給していました。
今年のNHK正月時代劇は「ライジング若冲」でしたが、二年前、2019年のドラマは「家康、江戸を建てる」でした。前後編の内、前編は「水を制す」で、まさに江戸の飲み水をどうするかで悪戦苦闘する姿を描いたドラマでした。
江戸の町に水を供給していたのは、神田上水、玉川上水という二大上水があり、後に本所(亀有)上水、青山上水、三田上水、千川上水を加えて、江戸六上水と呼ばれます。
この項では、神田上水を取り上げ、江戸の水道事情などを史跡をたどりつつ案内していきたいと思います。