好きな落語の演目に「くっしゃみ講釈」という演目があります。恋路を邪魔した講釈師への復讐のために、講釈場の火鉢で胡椒の粉をいぶして講釈師の出番を邪魔しようとする話なのですが、落語の中に講釈の語りだけでなく、前の段階で覗きからくり(覗き穴から話の情景を見せつつ物語を語る見世物)の口上を述べるシーンもあります。
落語の語りの中に、講釈と覗きからくりの口上も楽しめるのが特長です。
その覗きからくりの口上が「小伝馬町より引き出され~♪」と放火した「八百屋のお七」が市中引き回しになる情景を詠みあげるのですが、お七が処刑されたのは「鈴ヶ森の刑場」で、こちらは江戸の南側にあたる品川区の南大井に刑場跡があります。
一方、北側の刑場が「小塚原の刑場」で、南千住の回向院内に刑場跡が残っています。
回向院の門の先に刑場跡があるのですが、手前の壁に碑文が残されています。この場所で、杉田玄白・前野良沢・中川淳庵たちが腑分け(罪人の死体解剖)を見学し、その時の驚きが「解体新書」の翻訳・出版につながった、というものです。
小塚原の刑場では開設から廃止まで20万人以上の刑(獄門・磔・火刑)が執行されたとのこと。当然、江戸時代の処刑者のそうそうたる面々が処刑され、葬られています。
次回以降、処刑者の中からエピソードを含めご紹介していこうと思います。