シーボルトが、実際に共著の中で紹介した紫陽花の品種名は「Hydrangea Otaksa」
Hydrangeaはアジサイを示すので、「お滝さんアジサイ」といったところでしょうか。残念ながら、この品種はシーボルトが日本に滞在した約50年前に同じ長崎の出島に医師として滞在し、帰国後日本の植物などを紹介したカール・ツンベリーによって、すでに発見・紹介されており、シーボルトの名付けた「Hydrangea Otaksa」は学術的に有効な名前として残っていません。
Otaksaが、お滝さん献じた名前であることを突き止めたのは、「日本の植物学の父」といわれる牧野富太郎博士ですが、博士は「花に花柳界の女性の名前を付けた」行為を非難しています。もっとも、博士も新種の笹を発見した際、前年に死亡した妻の名をとって「スエコザサ」と名付けているのですが・・・
文京区の「白山あじさい物語」に書かれていたのが、次の一節
「アジサイは、ガクアジサイから生まれた園芸種と言われています。」
ガクアジサイは結実する花(両性花)の周囲に装飾花が咲き、これが「額アジサイ」の名前の由来なのでした。花びらに見えるのは正しくは「萼」で、中央の粒状のものが本来の花だそう。
毬のように丸く花をつけるアジサイはガクの部分(装飾花)だけが発達したもので、こちらを区別する意味で「ホンアジサイ」と呼んでいます。
これを読むまで、私はガクアジサイは満開になる前のホンアジサイだと全く間違った認識でした。しかもホンアジサイ、といういかにも元祖的な名前がついていながら、ガクアジサイから生まれた、つまりガクアジサイの方が元祖だったとは!
アジサイの話、続きます。