おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

テレ日是好日6

スカイツリーの高さは634M、当初の予定では610Mの構想でしたが、当時世界一の自立式電波塔が中国広州の広州タワー(618M)で、世界一の高さにするため再検討し、武蔵の国とかけて634Mとなった、という話を開業当初聞いたことがあります。世界一を目指すために下駄をはかせた感じですね。また、634(むさし)だと語呂がよくて覚えやすい数字です。

一方、東京タワーは333M。これも覚えやすい数字を選んだように思われます。

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東京スカイツリー(634M) 大島小松川公園より

しかし、当初構想ではその高さは約380M。塔本体が300Mと、上に伸ばすアンテナ部分が80Mというものでした。昭和三十二年(1957)の日本電波塔株式会社発足時には、380Mとした設計もほぼ終わっていました。しかし、電波塔の将来のユーザーとなるテレビ局関係者等の意見・要望に次のようなものがありました。

「テレビの画像が乱れることの無いように、強い風が吹いた場合にも、アンテナの揺れは左右1.5度以内となるようにしてもらいたい」

当初設計で十分な強度は確保していたものの、この要求はさらに高いもので、揺れを抑えるためには、鉄骨の量を増やすことが必要でした。380Mの高さのまま、鉄骨の量を増やすと、当初の建設費用では足りません。そのため、電波塔の高さを抑え、工事費用を削ることとしたのです。理論的にはアンテナを含めた塔の高さは、308Mあれば周囲100KMにテレビ電波を発信することが可能です。

当時、世界一を誇っていたのは、フランス・パリのエッフェル塔で、その高さは当時312M。「世界一の高さの塔を作る」というのが悲願であったことから、それを超える高さで技術的な検討を重ねた結果、333M(塔本体253M+アンテナ80M)という数字になったそうです。とはいえ333のゾロ目の数字にしようとする意図がなかったとは言い切れませんが・・・(完成・公開予定が昭和三十三年だったこともありますし)

こうして高さが変更されましたが、高さを削ってそのまま竣工、というような簡単なものではありません。建設の苦労話が続きます。