おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

老いて松々盛ん2

東京の大名庭園は、小石川後楽園、細川庭園、六義園など名園が数多く残されていて、松の木も多く植えられていますが、全体の数や、名松としての個体ということも考慮すると、浜離宮恩賜庭園を挙げるのが妥当ではないかと思います。

浜離宮恩賜庭園 海沿いにあるせいか、樹木の松の比率が高いように思えます

元々この地は将軍家の鷹狩場で、一面の芦原でした。甲府藩主の徳川綱重がこの辺りの土地を拝領し、承応三年(1654)甲府浜屋敷と呼ばれる別邸を建てる許しを得ました。

四代将軍家綱(家光の長男)の時代で、綱重は家綱の弟にあたり、さらに下に舘林藩主綱吉(後の五代将軍)という家系です。この三兄弟では綱重が先にこの世を去り、その後家綱が継嗣のないまま死去したため、綱吉が将軍となりました。綱吉にも継嗣が無かったため、六代将軍に就いたのが綱重の子綱豊で、改名して家綱となりました。

これにより甲府徳川藩は絶家となり、この浜屋敷が将軍家の別邸となったものです。

この庭園、25haの広さを誇り、東京湾から海水を取り入れ、潮の干満で起こる景色の変化を楽しむ潮入りの回遊式 築山泉水庭園となっています。

ここでご紹介するのは、大手門側の入口そばに生い茂る「三百年の松」。

「三百年の松」左に立つ人と比べるとその大きさがよくわかります

宝永六年(1709)に六代将軍となった家宣がこの庭園を大改修した際、その偉業をたたえて植えられたといわれるクロマツです。上の写真で見ると、松は柵のあたりの地面から上に伸びているように見えますが、ななめ横に回って撮影した写真を見ると、そうではないことがわかります。

盛土からななめ横に伸びて成長しています(菰巻きも見えますね)

盛り上げられた土から低く、太い枝が低く張り出して堂々とした姿を見せています。

この「三百年の松」は高さ10m、横幅約17.7m、幹回り4.4mあって、2年に一度手入れが行なわれているそうです。

浜離宮で名前の付いている松の木はここだけですが、園内には枝ぶりの面白い松が他にも見られます。次回はそのうちのいくつかをご紹介していきます。