おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

そうだ、ライト行こう 番外編 帝国ホテル記念展示に行こう2

このブログでは、ライトの建築に多く使われた「大谷石」を紹介してきましたが、帝国ホテルで大谷石と並んで使用され、特徴づけているのが煉瓦です。ライトは建築にあたって鉄筋コンクリートの表面を覆う型枠兼仕上材として、黄色い煉瓦を使うことを考えます。しかもその表面は細かく筋のつけられたクラッチ・タイル、別名すだれ煉瓦という形状のものです。

常滑で製作された黄色のスクラッチ・タイル=すだれ煉瓦(帝国ホテル展示)

赤煉瓦は重苦しく、アメリカで流行し始めた黄色のスクラッチ・タイルなら軽快さを表現できると考えたのでしょうか。が、総支配人・林愛作にとっては見たこともない代物で、どのようにしたら入手できるのか、そもそも日本で手に入るかもわかりません。そこに助け舟を出したのが、帝国ホテルの出資者(株主)であり重役でもあった「村井吉兵衛」でした。村井が言うのには、「うちの京都にある洋館にそのような黄色い煉瓦を使っている」とのこと。さらにその煉瓦は輸入したものではなく、愛知県の常滑で生産されているとのこと。

村井吉兵衛は、過去(2022年6月)このブログの「三べえ回って煙草にしょ~天狗分け目の戦い」や「煙草(なつくさ)やつわものどもが煙のあと」で紹介した日本のたばこ王と呼ばれた人物です。

京都円山公園に建つ「長楽館」

煙草のことをブログに書いていた時は、こんなことは全く知らなかったのですが、その時撮った京都の洋館「長楽館」の写真を見直すと・・確かに同じような煉瓦が使われているように見えます。

この黄色い煉瓦を作っていたのが、久田吉之助という煉瓦職人なのですが・・彼は帝国ホテル側の人間からすると、「詐欺師」「不良業者」として悪名が伝わっています。

2019年11月(BSプレミアム)、2020年3月(総合)で放映されたドラマ「黄色い煉瓦~フランク・ロイド・ライトを騙した男」は久田を主人公にドキュメンタリータッチで描かれた作品です。次回はこの黄色い煉瓦のお話が続きます。(番外編、思ったより長くなりそう・・)

煙草(なつくさ)や つわものどもが煙のあと2 - おっさんの街歩き(忠敬に憧れて) (hatenablog.com)