おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

果てには茶碗~鴻池の粋

今池鴻池家の代々の当主は善右衛門(2代目のみ喜右衛門)を名乗りますが、鴻池新田を開発したのは3代善右衛門宗利で、その後酒造業と海運業からは手を引き、金融・大名貸しと新田経営を中心に営むようになりました。

銭箱と千両箱(造幣博物館)

300あったという藩のうち、今池鴻池から融資を受けていた藩の数は110に上り、藩によっては経営コンサルタント的な人材を派遣し、藩政に関与したりもしています。

4代、5代、9代目の善右衛門は茶人として知られていますが、大金持ち=金満家として「鴻池の犬」、茶人としては「はてなの茶碗」にこの鴻池家が登場します。

「鴻池の犬」は「大店(おおどこ)の犬」、「はてなの茶碗」は「茶金」と題名を変えて江戸落語としても演じられるネタです。また、朝ドラ「ちりとてちん」で主人公(徒然亭若狭:貫地谷しほりさん)の兄弟子、小草若(茂山宗彦さん)が演じていて、そこに絡んだエピソードはどちらも笑いと涙をさそうものでした。

それはさておき、まずは「鴻池の犬」から。

船場のある商家の軒先に3匹の子犬が捨てられているところから話が始まります。真っ黒、真っ白、ブチの犬たちは商家の丁稚さんが世話をして犬たちも店の者たちになついてきたころ、通りすがりの男が「犬をもらえないか」と商家の主人に持ち掛けます。「黒い犬をもらいうけたい」と申し出ます。主人も「3匹もいるのは、と思っていて、いつかどなたかにもらってもらおうと思っていた」と、すぐに応諾するのですが、男の答えは「主人に相談し、日を改めて頂きに上がります、それではさいなら、ごめん」というものでした。

主人としてはなぶられた(からかわれた)と思って少し気に障っていたところ、ある日その男が紋付・袴に白扇を持ち、供を連れてやってきました。「先日のお話で、黒い犬をいただきに上がりました」という男に、商家の主人の答えは・・

それについては次回で。