善養寺の門を入ると、正面に本堂があり、ご本尊として閻魔さまが祀られています。
本堂の引戸は普段閉じられていますが、15CMくらいの幅で開くようになっており、開いたとの間から、閻魔さまのお姿を拝見することができました。
他の仏像と異なり、お顔も大きく肩幅も広いため、距離があってもどっしりとして、存在感がありますね。
閻魔さまは、地獄あるいはあの世(冥界)の王として、死者の生前の罪を裁きますが、道服(中国の官吏の着るような服)を着ているため、印象が他の仏像と大きく異なります。これは、仏教における地獄の王の閻魔天が中国に伝わった際に、道教の泰山府君と一緒に冥界の王として祀られたため、この姿が一般的になったもののようです。
また、怒りの顔が恐ろしい閻魔さまですが、日本の仏教では地蔵菩薩の化身とされています。上の写真でも、閻魔さまの左側にお地蔵さまが立っておられますね。
さて、「地獄の沙汰も金次第」などといいますが、落語「地獄八景亡者戯」では、亡者たちが念仏町で、それぞれの宗旨の念仏を買います。念仏にも色々の値段がついていて、高い念仏ほど重い罪でも許される、というので、自分たちの懐具合にあわせて念仏を買い求めるのですが、「地獄の沙汰も金次第」の言葉の使用例も、16世紀くらいに見え始め、江戸時代中期以降、商人が幅を利かすようになってから、一般的に広まるようになったのだとか。
善養寺には、尾形光琳の弟、尾形乾山のお墓がある他、隣接した妙行寺には、四谷怪談で知られたお岩さんのお墓などもあります。
江戸三閻魔の太宗寺、華徳院、善養寺についてご紹介してきました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次項では、三閻魔以外の閻魔像をいくつかご紹介していきたいと思います。