おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

えんま異なもの味なもの9

善養寺の門を入ると、正面に本堂があり、ご本尊として閻魔さまが祀られています。

本堂の引戸は普段閉じられていますが、15CMくらいの幅で開くようになっており、開いたとの間から、閻魔さまのお姿を拝見することができました。

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引戸を開くと正面に閻魔さまがいらっしゃいます(手前はお賽銭箱です)

他の仏像と異なり、お顔も大きく肩幅も広いため、距離があってもどっしりとして、存在感がありますね。

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アップにすると表情に迫力が加わります

閻魔さまは、地獄あるいはあの世(冥界)の王として、死者の生前の罪を裁きますが、道服(中国の官吏の着るような服)を着ているため、印象が他の仏像と大きく異なります。これは、仏教における地獄の王の閻魔天が中国に伝わった際に、道教泰山府君と一緒に冥界の王として祀られたため、この姿が一般的になったもののようです。

また、怒りの顔が恐ろしい閻魔さまですが、日本の仏教では地蔵菩薩の化身とされています。上の写真でも、閻魔さまの左側にお地蔵さまが立っておられますね。

さて、「地獄の沙汰も金次第」などといいますが、落語「地獄八景亡者戯」では、亡者たちが念仏町で、それぞれの宗旨の念仏を買います。念仏にも色々の値段がついていて、高い念仏ほど重い罪でも許される、というので、自分たちの懐具合にあわせて念仏を買い求めるのですが、「地獄の沙汰も金次第」の言葉の使用例も、16世紀くらいに見え始め、江戸時代中期以降、商人が幅を利かすようになってから、一般的に広まるようになったのだとか。

善養寺には、尾形光琳の弟、尾形乾山のお墓がある他、隣接した妙行寺には、四谷怪談で知られたお岩さんのお墓などもあります。

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善養寺本堂裏の墓地にある、尾形乾山の墓

江戸三閻魔の太宗寺、華徳院、善養寺についてご紹介してきました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次項では、三閻魔以外の閻魔像をいくつかご紹介していきたいと思います。