おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

災害や意外2

ドラマ「大奥」で仲里依紗さん演じる綱吉と、山本耕史さん演じる右衛門佐の初対面のシーン、右衛門佐は孟子の講義を行っていました。孟子が周の武王が殷の紂王を滅ぼしたことを良しとしていることについて問いただします。

「愚かな主君は民によって殺されても当然である、と?」

孟子はそう説いております」

後に一人娘(逆転なので後継ぎ)の松姫を失ってから綱吉は寝所でのあるふるまいを右衛門佐に諫められ、それに対して吐いた言葉が印象的です。

綱吉時代に造営された根津神社

「天命を失った君主は誰かに倒されても致し方ないのであろう。なのに何故だれも私を倒しに来ぬのじゃ!」

松姫を失ったことに加え、桂昌院からまたあらたな後継ぎをもうけるよう繰り返されることに疲れた綱吉の哀しさが伝わってきます。

さて、史実においても綱吉の治世の後半、災害続きであったことは前回ご紹介した通りです。「天人相関説」という中国から伝わる思想があります。天子の所業(この場合は為政者=将軍と読み替えるべきでしょう)は自然現象に象られ、悪政を行えば「大火」「水害」「地震」「彗星の飛来」など災いをもたらし、善政を行えば吉兆が現れる、というものです。

この考え方からすると、治世後半の災害オンパレードは「綱吉の不徳と悪政が招いた」ということになります。実際、綱吉の後の六代将軍家宣の政権ブレーンであった新井白石は即時に「生類憐みの令」を廃止し、綱吉時代の貨幣政策を激しく非難しています。

天災と為政者の徳が連動するというのは科学的思考の進んだ現代では廃れた考え方ですが、江戸時代では庶民以上に、支配階級や学者に「天人相関説」の考え方が強く影響しており、綱吉の評価を大きく下げてしまっているといえます。

さて、綱吉は世継ぎのできないまま晩年を迎えるのですが・・それは次回で。