おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

他抜きつ抜かれつ9

兄である四代将軍家綱が死の床で、次代の将軍を綱吉にする、と命じたのでした。次兄の甲府宰相綱重は2年前に35歳の若さで亡くなっており、継嗣のいなかった家綱が綱吉を養子として将軍を継がせる、と白羽の矢を立てたのです。

直系がの子孫がいないので、その継承は当然のことと思われますが、時の大老酒井忠清(「下馬将軍」とも呼ばれ、権勢を誇っていました)は、徳川家と血縁のある有栖川宮幸仁親王を宮将軍として擁立しようとしていたので、それを否定した家綱の綱吉任命は大きな意味を持っていました。

5月に家綱が逝去、8月に綱吉は五代将軍の宣下を受けます。(同年12月に酒井忠清大老職を解任されています)桂昌院は、五代将軍の母として江戸城へと帰ってきました。大奥を離れて30年、大奥2000人の女達の頂点としての帰還です。

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柳森神社 こちらは雌狸

大奥の女中が福寿神祠(福寿稲荷)を崇敬するのは、「他を抜いて」玉の輿に乗った(桂昌院の幼名「お玉」が「玉の輿」の由来とされています)桂昌院にあやかろうとしたものでしょう。

綱吉と桂昌院は、武断社会から、儒教と仏教を重んじる社会を目指していこうとしましたが、行き過ぎて「生類憐みの令」から「犬公方」のあだ名をつけられるようにまでなってしまったのは、ご存じのとおりです。

上の雌狸は懐妊の姿で、「玉の輿」「安産」のご利益の他、「他を抜く」ことから「出世開運」の神様として信仰を集めています。

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雄狸

 朝からサラリーマンらしき方の参拝が絶えなかったのも、そういうことか、と納得させられるものがあります。

狸のお話は以上です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。