おっさんの街歩き(忠敬に憧れて)

首都圏周辺の見て歩きや気になった本やドラマなどについて語ります

2023-01-01から1年間の記事一覧

おそれ大奥ことながら3

その事件とは、天明三年(1783)の「浅間山の大噴火」(「天明の大噴火」「天明の浅間焼け)と、それによって引き起こされた「天明の大飢饉」です。これらについてはすでに昨年5月にこのブログ「浅間浅間よ朝陽が昇る」「混ぜるな飢饉、負けるな飢饉」でも紹…

おそれ大奥ことながら2

ドラマ「大奥」では、この白河松平家への養子縁組の話がすでに流れかけていたところに、仲間由紀恵さん演じる徳川(一橋)治済(はるさだ)が「ご政道批判を行なう定信をこのままにしてよいのでしょうか」と老中たちを焚き付けて実現を強く後押しする場面が…

おそれ大奥ことながら

「大奥Season1」終盤で吉宗が家重を後継に決定するまで、妹の宗武(むねたけ)が聡明であったため、周囲でも後継を期待し、宗武本人(演:松風理咲さん)にもその気がありました。が、結局吉宗は家重を選択、宗武はわだかまりを持ちながらそれに従う、という…

菊は一時(いっとき)の鉢2

開催されなくなっても、枚方(ひらかた)=菊人形を印象付けている「ひらかた大菊人形」の原型は明治四十三年(1910)の10月15日からスタートした「香里遊園地」での菊人形展です。 ちなみにこの開催日は京阪本線の天満橋~五条駅の開業日でもあり、それに合…

菊は一時(いっとき)の鉢

本来であれば前回の続きで田沼時代の話なのですが、イベントが終わってしまうと旬を過ぎるので、この稿を割り込みして掲載します。 昨年11月、菊まつりや菊人形についてご紹介しましたが、元々阪神間に住んでいたので、「阪神パーク」の菊人形は子供の頃何度…

念頭に大奥4

田沼意次は前回ご紹介したように、小姓として抜擢され、亡父意行の禄600石を継いだのが15,6歳の頃で、そこから40年足らずで大名となり俸禄は最初の100倍近くに膨れ上がりました。大名となると家来を雇わなければいけませんが、浪人や農民出身の家臣が多く、…

念頭に大奥3

ドラマ「大奥 Season2」で松下奈緒さんが演じた田沼意次は、将軍継嗣時代の家重の小姓に抜擢され、家重が九代将軍の座に就くと御側御用取次に昇進します。家重がなくなり十代将軍家治の時代には側用人に出世、さらには老中格を経て老中となりました。 通常、…

念頭に大奥2

源内や田沼意次が目指した世界観をドラマと史実から紹介するという目的から、ドラマや原作漫画のネタバレを含みます。 ドラマでは長崎で青沼に出会い、大奥に連れ帰る役割を果たしていますが、源内は生涯2度長崎に遊学しています。一度目は宝暦二年(1752)…

念頭に大奥

ようこそのお運び、厚く御礼申し上げます。 さて、10月3日からスタートしたドラマ10「大奥 Season2」、今週第14回が放送されました。Season2だけでいうと、第4回目がもう放映済ということですね。(スタート時期にこの項も始めるつもりでしたが、上方落語の…

キセキを継ぐもの6

星合池の位置を【天満宮の北、「裏門筋」に面した鳥居の向こう】と書きましたが、繁昌亭に向かって左わきの道が「裏門筋」にあたるので、繁昌亭から歩いても1,2分で到着する距離です。 高坐招魂社 小さなお社です 前回の年表の記事にもあったように、建立は…

キセキを継ぐもの5

長々と繁昌亭ができるまでとできてからの上方落語の歴史を振り返ってきました。三枝会長が六代目の上方落語協会会長に就任したのが平成十五年(2003)7月23日、それから平成三十年(2018)6月1日に七代目会長の笑福亭仁智(しょうふくてい じんち)師匠が就…

キセキを継ぐもの4

上方落語を守り育ててきたのは、第一に師匠から弟子へしっかりと受け継がれてきた、ということですが、演者がいるだけでは芸は成り立ちません。芸を見るお客さんあって初めて芸能が成り立ちます。大阪天満宮の厚意をはじめ、天神橋筋商店街や多くの人の物心…

キセキを継ぐもの3

この日松喬師匠がかけた「泥棒と若殿」という演目は、古典落語かと思いきや、山本周五郎作の同名の短編小説を基に松喬師匠が落語に仕立てた「創作落語」でした。師匠は前名の三喬時代に「泥棒三喬」の異名をお持ちで、泥棒の噺を得意にされていますが、この…

キセキを継ぐもの2

ざこば師匠が米朝師匠に入門したのが15歳の頃。複雑な家庭から、米朝師匠が「育ての親」として歩んでこられた方で、「師匠愛」「一門愛」が人一倍強い方なのでしょう。 「動楽亭」の開設もそうした情熱から決断されたのかと思います。 来年新春の米朝一門会 …

キセキを継ぐもの

興行開始最初の10日間、朝昼夜の1日3回、30公演が開催され、上方落語の噺家はほぼ全員が出演しました。立ち見までが出る盛況ぶりでしたが、古参の噺家さんたちが最も心配していたのが、毎日行われる昼席興行が「これからもちゃんとお客さんが入ってくれるん…

奇跡の軌跡5

前回はプレオープンの記事をご紹介しましたが、実際に本番開演の日のトップバッターは誰だったのか、記事に残っていました。 そんな期待を受ける一人が入門12年目の桂吉弥(35)。こけら落とし公演のトップバッターに起用された。米朝の孫弟子で、正統派…

奇跡の軌跡4

平成十八年(2006)9月の新聞紙面は60年ぶりの落語定席を取り上げて記事にしていて、15日の本番開演前の9、10日とプレ公演を行った時の様子が記事になっています。 (以下当時の記事より 写真は最近の撮影) 初興行の観客を出迎えるのはまず、「ドンドン」と…

奇跡の軌跡3

天井を見上げてみましょう。天井を埋めつくすように並べられた提灯が壮観です。この天井と外壁の提灯は全部で1500(天井は約1200)ほどあります。ここに三枝会長発案の寄付された個人・企業の名前が入れられていました。 この提灯の製造を行ったのが、創業安…

奇跡の軌跡2

さて、繁昌亭の客席へ入ってみましょう。新宿末広亭などですと、入場後は一切撮影が禁止ですが、繁昌亭は開演前や中入り、終演後の場内撮影はOK。 座席は1,2階に分かれていて216席。立見を含めると250名のお客さんを収容できます。末広亭の座席数が313(左…

奇跡の軌跡

ドラマ「ちりとてちん」では、草若師匠のお宅を寄席に改装して「日暮亭」という定席を建てるところでラストにつながっていくのですが、寝床の大将の他の周囲の人たちがお金や品物(寝床の大将は「売ってお金に替えるよう」愛用のギターを差し出します)を寄…

はんじょう 頼んまっせ 天(地)神 揃う6

wikipediaの「天満天神繁昌亭」の記載を見ると、繁昌亭の敷地面積は591.06㎡とありますから、約179坪。分譲住宅が5,6軒は建つでしょうか。シャッターの閉まった商店一棟をイメージしていた三枝会長からすると「何も建ってない時の広さは、自分の思い描いて…

はんじょう 頼んまっせ 天(地)神 揃う5

土居会長が、天神さんに相談してみよう、そう思いついたのには、昭和四十年代くらいから、大阪天満宮と天神橋筋商店街とが協力して地域活性に努めてきた歴史があったからでした。 大阪天満宮(天神さん)南側 大阪天満宮は、「天満の天神さん」として親しま…

はんじょう 頼んまっせ 天(地)神 揃う4

日本一長い商店街で知られる「天神橋筋商店街」は、大阪メトロ「天神橋筋六丁目」あたりを北端として、北から六丁目~五、四、三、二、一と南に続きます。大阪天満宮の西あたりが二丁目でさらに南の一丁目、東西の「鳥居筋」と交わるところが南端です。 堺筋…

はんじょう 頼んまっせ 天(地)神 揃う3

その「一言」とは どこに行ったら上方落語が聞けるんですか?ってよく言われるけど、それぞれの会の事しか言われへんし、その時に客も来られへんかもしれんし、戦前のように落語の定席があったらええけどなぁ 会長個人としては、吉本の売れっ子芸人「桂三枝…

はんじょう 頼んまっせ 天(地)神 揃う2

平成十五年(2003)7月に桂三枝師匠(現六代目桂文枝)が六代目会長に就任してから、落語定席建設への大きく動きました。噺家の「想い」が具体的な「かたち」へと変わっていきました。 天満天神繁昌亭のホームページ内の「繁昌亭とは?」をクリックすると、…

はんじょう 頼んまっせ 天(地)神 揃う

「ワッハ上方」(大阪府立上方演芸資料館)は「なんばグランド花月」の向かい、「ドン・キホーテ千日前店」の入ったビルの7階。常設展示はちょっと物足りないものの、収蔵資料が豊富なので、企画展などはなかなか凝ったものが展示されます。入場無料なうえに…

九月に花咲く悲願噺8

5日間の寄席、初日の一番、桂べかこ(現3代目桂南光師匠)さんが「東の旅」を演じています。この噺は「ようよう上がりました私が初席一番叟で御座います」から始まり、小拍子と張扇で見台を叩きリズムを取りながら進めていくので、口切りのネタの定番といえ…

九月に花咲く悲願噺7

引続き当時の新聞記事から。松鶴会長自ら下足番(お客さんの靴を預って下足札を渡す)をされている写真が載せられ、下足札を渡されたファンが 「記念に下足札を分けてください」すかさず会長は 「その代わり、クツを置いていきなはれ」の返し。これには周囲…

九月に花咲く悲願噺 6

救いの手を差し伸べてくれたのは、東心斎橋にある「日本キリスト教島之内教会」の当時の牧師さんの 西原 明さんでした。 昭和四年(1929)に建てられた「島之内教会」 国の登録有形文化財です 西原さんは東京神学大学の大学院を修了後、1年米国留学をした際…

九月に花咲く悲願噺 5

定席の別の言葉で言うと、定打小屋(じょううちごや)ともいい、ドラマ「ちりとてちん」ではこちらを使用しています。 「その定打小屋いうのがあったらそないにええことあんの?」、草若師匠が再び常打小屋建設への意思表明を弟子たちに行った後、草々ら弟子…